<原著>Functional MRIに関する基礎的検討 : 言語機能について
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概要
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脳の機能を画像で立体的に把握することは極めて重要なことである.これまで造影剤を用いたPETの検討などで運動, 感覚, 言語, 思考など多くの知見がえられてきている.PETは一般的臨床レベルでは多くの困難があり, ごく最近, 脳MRIを用いてこれらの画像的把握が試みられつつある.本研究は脳の機能の一つとして復唱の言語機能をとりあげ, アーチファクトがより少なく臨床的に有効なfunctional MRI(fMRI)撮像を工夫し, 復唱の中枢局在の検討を行うことを目的とした.結果 : fMRI撮像では, エコープラナ(EPI)法, グラディエントエコー(GRE)法ともに復唱言語刺激に対する信号が明瞭に認められた.EPI法は, multisliceにより負荷に対して適切な部位を選択し短時間に画像が得られ, 検査による被験者への負担が軽減された.復唱言語の運動性因子の評価には発生刺激が有効で, 正常対象者15例全例が利き手と対側半球の運動性言語に関わる領域〔下前頭回(Brodmann 44,45,47), 中心前回下部(Brodmann 4), 島〕に刺激に反応する信号を認めた.頭の中で復唱する刺激では, 全例ではないが利き手と対側半球に信号が認められた.何れの復唱刺激でも対側上側頭回領域にもかなり信号が認められ, 復唱のもつ感覚性因子を表現していると考えられた.さらに横側頭回も復唱にかかわることを認めた.また, 優位半球の信号以外に劣位半球側の言語野にも信号を認め, 同側半球にも少数の言語機能が存在する可能性が持たれた.上記の信号は休止, 負荷の反復に相関して信号強度の変化を認めた.通常のMRI装置を用いても脳の神経活動を十分評価する事が可能であった.
- 1997-06-25
著者
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