電気伝導度による牛肉組成の推測(農学部門)
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概要
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挿入型電極を用いて牛肉の電気伝導度と肉温・貯蔵日数および電極挿入方向との関係を測定し, 電気伝導度と脂肪含量および水分含量との関係から肉組成の推測を試みた。供試牛肉は屠殺後5日目の黒毛和種大割枝肉より採取した18材料である。電極挿入方向による電気伝導度の差異は赤味肉では2∿5%, 脂肪含量の多い肉では10%前後であつた。これは筋東間に沈着した脂肪の量と分布状態が主として関係していることを示すものであろう。肉温が高くなれば電気伝導度も高くなるが, 肉温にともなう電気伝導度上昇の傾向は肉によりまた屠殺後日数によつて一定でない。したがつて肉温によつて生ずる差を補正するための温度係数を得ることはできない。電気伝導度と脂肪含量および水分含量との間にはそれぞれ-0.768∿0.917,および0.659∿0.866の有意な関係が認められた。この関係から求められる回帰の傾向は測定温度および肉の貯蔵日数によつて異なるが, 一定条件下で測定すれば電気伝導度から脂肪含量その他の組成を推測することが可能であろう。挿入型電極を用いればほとんど材料を傷つけることなく電気伝導度の測定を行ない得るから, 枝肉の組成や品質の測定あるいは脊脂肪と筋東間脂肪との関係などの研究に応用し得るものと考える。
- 1963-09-01
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