ヴェネツィア派の「聖会話」祭壇画の空間構成
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
15世紀末から16世紀初頭にかけてのヴェネツィアとその周辺で制作された独特の「聖会話」祭壇画は,その強い幾何学的な構築性にもかかわらず,surface geometry(画面上の幾何学的秩序)の観点からの分析がなされてこなかった。本稿では,できるだけ客観的な分析にするために計測の基準点が明瞭な4つの作例をとりあげ,いずれも(1)全体の構成の考察,(2)モデュールとユニットの設定,(3)画面とくに高さ方向の分析,(4)細部の分析,という順序で考察してみた。分析の結果,描かれた建築物には,画面の横幅を等分して得られるモデュールが適用されているだけでなく,モデュールの長さをもとにして得られる無理数の長さ(モデュールの長さをmとすれば,√<2>mや√<3>m,√<5>mという長さ。図3)が頻繁に利用されていることが明らかとなった。こうした「無理数ユニット」を巧妙に細部に適用することで,無限のヴァリエーションをもつ比例空間が生成されているのである。
- 2003-03-15
著者
関連論文
- ピ***・デッラ・フランチェスカの《むち打ち》の空間構成
- 【研究ノート】レオナルド・ダ・ビンチの素描の空間構成:再考
- ピ***・デッラ・フランチェスカの《むち打ち》の遠近法
- 【特集】西洋美術に表現された「仮面」
- ヴェネツィア派の「聖会話」祭壇画の空間構成
- ジョヴァンニ・ベッリーニの「聖会話」祭壇画の空間構成 : 《サン・ジョッベ祭壇画》と《サン・ザッカリーア祭壇画》
- ジョヴァンニ・ベッリーニの《聖なる寓意》の空間再構成と数理的秩序
- アンドレア・デル・カスターニョの《最後の晩餐》の幾何学的構造