カフカのテクストDie Baumeを理解するために : テクストの多層性に基づくテクスト言語学的分析
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概要
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本稿では,カフカの作品Die Baumeを取り上げる。この小品は,従来さまざまな観点から分析が試みられ,さまざまな解釈が提出されてきた。本稿ではとくに,この作品で描かれる"Baumstamme im Schnee"の様態の理解に焦点をあてる。この理解に関して,これまで少なくとも4つの見方が提出されている。このように複数の見方が提出される背景には,作品内で使用されている動詞"aufliegen"をめぐる議論がある。そこで,本稿では,まず,この動詞をめぐる問題を作品構成上のダイナミズムと文献学の観点から検討し直す。つぎに,この作品に関する諸研究は,これまでとくに事態提示レヴェルに重点が置かれていた点を指摘し,それが埋め込まれているテクスト内言語相互行為レヴェルにおける分析の必要性を示唆する。その上で,テクスト内言語相互行為レヴェルにおける「カフカ的特徴」を明らかにする。なお,本稿は,拙稿「カフカのテクストDie Baumeを理解するために-テクストの多層性について-」(『かいろす』 Nr. 28, 1990, S. 31-44)を基礎に,最近の研究を参照しながらドイツ語でまとめ直したものである。
- 金沢大学の論文
- 2000-03-18
著者
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