ヒト化マウスを用いた病態解析
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概要
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20世紀後半,免疫学をはじめとする多くの生物学が,遺伝子改変技術の進歩とともに,実験動物であるマウスを用いて大きな発展を遂げてきた.これら基礎研究で得られた知見を免疫療法や幹細胞移植など医療への現場へ安全かつ効率よく応用するためには,マウスで得られた研究成果がヒトにおいてどの程度同じなのかを検証することが重要である.一方,ヒト検体を用いた研究を実施するうえで,骨髄,脾臓,胸腺といった組織から細胞を研究目的に得ることも容易ではない.そこで,われわれはヒトの正常造血・免疫系をマウスに再現する「免疫系ヒト化マウス」の作製を通して,生体内におけるヒト免疫系のdynamicsを理解したいと考えて研究を実施している.さらに,ヒト化マウス研究を予後不良な造血器悪性疾患のひとつである急性骨髄性白血病(AML)に応用することで,本疾患のマウスでの病態再現を目指すとともに,近年明らかになりつつある白血病幹細胞の存在と治療抵抗性における役割をあきらかにしたいと考えている.正常と疾患,両者のヒト化マウス研究を紹介するとともに,現在の課題とその克服に向けた取り組みについても概説したい.
- 日本臨床免疫学会の論文
- 2010-12-31
著者
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