斉一な牛群を用いて作製した体外受精・体外発育卵と体内受精・体内発育卵に由来する子牛生時体重の比較
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概要
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体外受精卵に由来する子牛と体内受精卵に由来する子牛の生時体重および妊娠期間について比較した.体内受精卵については,母牛群を兵庫県産と島根県産の2系統を用いて比較したところ,兵庫県産の産子体重は島根県産に比べて有意に小さく,また偏差も小さかった(雄: 兵庫県産:29.1±4.3kg vs 島根県産:31.1±5.1kg,雌:兵庫県産:28.6±5.2kg vs 島根県産:31.1±7.6kg).そこで,父母牛群に兵庫県産牛を用いて体外受精卵および体内受精卵を定法によって作製して移植後の,それぞれの産子体重,妊娠期間について比較した.体外受精卵に由来する雄の産子体重は培養液にTCM-199培地を用いた場合およびm-SOF培地を用いた場合の両者において,体内受精卵に由来する産子体重に比べ有意に大きかった(体外受精卵(TCM-199):37.6kg:(m-SOF):36.6kg vs 体内受精卵:29.2kg).また,雌の産子については体外受精卵に由来する産子の体重が体内受精卵に由来するそれに比べて大きくなる傾向が見られたものの有意な差は観察できなかった.さらに,体外受精卵由来産子の体重と体内受精卵由来のそれとの差は雄子牛において顕著であった.妊娠期間については体外受精卵および体内受精卵で有意な差は認められなかった.以上の結果より (1)体外受精卵に由来する雄産子の生時体重は体内受精卵のそれに比べて大きいこと,(2)TCM-199培地もしくはm-SOF培地で発生した体外受精卵由来の産子体重間に明らかな差は認められないこと,(3)体外受精卵および体内受精卵の妊娠期間には差が認められないことが示された.
- 1998-12-01
著者
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岩田 尚孝
Nosai兵庫阪神基幹家畜診療所
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岩田 尚孝
畜産草地研究所
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岩田 尚孝
神戸市園芸振興基金協会
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赤松 真一
神戸市園芸振興基金協会
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赤松 真一
神戸市園芸振興基金協
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南 直治郎
京都大学農学研究科動物生殖生理学研究室
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南 直治郎
京都大学農学研究科
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