当院職員を対象とした麻疹抗体価測定およびその年齢階層別分析
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概要
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当院職員530名を対象として麻疹抗体価を測定し,年齢階層別に解析した.測定はゼラチン粒子凝集法(PA法),酵素免疫蛍光法(ELFA法)でおこなった.この2法により得られた結果には相関が見られたので,麻疹抗体価測定には安価で簡便なPA法で十分と考えられた. PA法による抗体価を用いて感染防御能別に年齢の平均値を求めた.抗体陰性群(8倍以下),抗体陽性だが感染防御は出来ない群(16倍〜64倍),感染防御可能群(128倍以上)の3群に分けると,それぞれ27.29±5.35歳,41.05±13.69歳,37.70±11.63歳であり,抗体価陰性群は有意に年齢が低かった. ELFA法による麻疹抗体価の平均値は,29歳以下群では1.83±0.94であり,30歳以上群の2.60±1.12に比較して有意に低値であった.これは,29歳以下は麻疹予防接種が定期接種とされた年代であるので,ワクチン接種との関連が示唆された. 当院職員の中にも,二次性ワクチン不全と考えられる職員が見つかった.現在18歳以下は麻疹ワクチン2回接種となったが,19歳以上は2回目が定期接種の対象となっていない.二次性ワクチン不全者を可能な限り減らすために,医療機関就職時に抗体検査をおこない,必要な場合はワクチン接種を実施し,「感染を受けない,感染源とならない」準備をしておく必要がある.
- 2009-11-25