熟成した堆肥への尿素添加がその後の有機物分解に及ぼす影響
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概要
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堆積期間が長く,易分解性有機物がほぼ分解した堆肥において,尿素を添加した場合のその後の腐熟の進行にどのような影響を与えるかを検討した.石川県内の堆肥センターで製造された鶏糞チップ堆肥,牛糞モミガラ堆肥,豚糞モミガラチップ堆肥の3種類を試験に用いた.試験堆肥に尿素を窒素源として乾物当たり約10g/kg添加して24ヵ月間の成分変化を調べた.3ヵ月後にはアンモニア態窒素含有率が高くなり,その後,アンモニア態窒素含有率が低下して硝酸態窒素含有率が高くなった.鶏糞堆肥の硝酸態窒素含有率の最大値は,尿素区が8.7g/kg(DM),無添加区が1.5g/kg(DM)であった.24ヵ月後の有機物分解率は尿素区が7%,無添加区が31%であった.経過月数と処理の効果の交互作用は有意(P<1%)に差があった.牛糞堆肥の硝酸態窒素含有率の最大値は,尿素区が4.3g/kg(DM),無添加区が0.6g/kg(/DM)であった.24ヵ月後の有機物分解率は尿素区が7%,無添加区が15%であった.経過月数と処理の効果の交互作用は有意(P<1%)に差があった.豚糞堆肥の硝酸態窒素含有率の最大値は,尿素区が2.5g/kg(DM),無添加区が1.0g/kg(DM)であった.18ヵ月後の有機物分解率は尿素区が12%,無添加区が15%であった.経過月数と処理の効果の交互作用に有意差はなかった.このことから,硝酸態窒素含有率が乾物中3.0g/kg以上に高くなると,有機物分解が抑制されると考えられた.
- 社団法人日本畜産学会の論文
- 2006-02-25
著者
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