ミトコンドリアDNA多型解析に基づく中国青海黄牛と黒毛和種との系統関係
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概要
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東チベット高原で飼育されている青海黄牛母系の遺伝的多様性を調べるとともに,その遺伝的変異を和牛と比較検討することにより,家畜ウシの東アジアへの移動ルートを探り,黒毛和種の遺伝的起源に関する仮説を提示した.青海黄牛27頭の毛根よりDNAを抽出し,ミトコンドリアDNAのD-loop領域における塩基配列を調べた.その結果,青海黄牛の母系はヤク(Bos grunniens)に由来する群(4頭),Bos indicusに由来する群(2頭),Bos taurusに由来する群(21頭)の3つに分類された.さらにBos taurusに分類された21頭には,17のハプロタイプが存在していることから,青海黄牛の母系は著しく遺伝的多様性に富んでいることが明らかになった.Bos taurus型の17のハプロタイプから作成した系統樹から,青海黄牛は東アジア型,ヨーロッパ型およびアフリカ型の3つのクラスターに分類された.これら3つのクラスターのうちの東アジア型およびヨーロッパ型の2つには,それぞれ黒毛和種にきわめて近いタイプあるいはまったく一致したタイプが存在したことから,青海黄牛のBos taurus型の一部は黒毛和種と共通祖先を有するものと推察された.
- 社団法人日本畜産学会の論文
- 2004-11-25
著者
-
細井 栄嗣
山口大学農学部
-
細井 英嗣
山口大学農学部
-
小澤 忍
山口大学農
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師 嘉
The United Graduate School of Agricultural Sciences, Tottori University
-
喬 海生
山口大学農学部
-
師 嘉
The United Graduate School Of Agricultural Sciences Tottori University
-
Hosoi Eiji
Department Of Biological And Environmental Sciences Faculty Of Agriculture Yamaguchi University
-
小澤 忍
山口大 農
-
師 嘉
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