屋外飼育におけるダチョウの行動様式および飼料消化
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概要
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雌雄の成ダチョウを屋外において飼育管理し, 行動観察を行うとともに給与飼料の消化率を調べた. 雄ダチョウ2羽は単飼で, 雌ダチョウは3羽を1群として飼育した. また成鶏用配合飼料 (鶏配) およびアルファルファ生草を1日2回給与し, 水は自由に摂取させた. 行動観察の結果, ダチョウは夜間 (日没から翌日の日出約30分前まで) には雌雄ともに座ったままの姿勢であった. 午前9時から日没により着座姿勢に移行するまでの時間を1日の行動時間とした時, 観察5日間の行動時間 (分/羽/日) は, 雄では560.5±41.2分, 雌では512.1±47.2分であった. 歩行に費やす時間は, 雌雄ともにもっとも多く43%以上を占め, 佇立および地面ついばみに費やす時間を合わせると69%以上となった. また給与飼料の採食時間は, 雌雄ともに約60分間であり, 行動時間の約11%を占めた. 鶏配およびアルファルファ生草のついばみ回数 (回/羽/日, 雌雄の平均値) は, 1,415.4±481.9回および1,538.4±664.5回であった. またついばみ1回あたりの乾物摂取量 (g/羽/日, 雌雄の平均値) を算出すると, 鶏配では0.9±0.37g, アルファルファ生草では0.3±0.12gとなった. 供試飼料の粗タンパク質摂取量 (g/羽/日) は, 雄では288.0±3.8g, 雌では273.9±20.3gであり, 乾物および粗タンパク質消化率 (%/羽/日, 雌雄の平均値) は, それぞれ64.1±10.0%および80.7±6.3%となった. また中性デタージェント繊維の消化率は, 雄では47.9±8.6%, 雌では59.2±11.4%であった. 供試飼料の消化管内通過時間をイッテルビウム (Yb) を指標物質として調べた結果, Ybが経口投与されてから糞中へ出現するまでの時間は, 雄よりも雌の方が長く, 17.3±4.1時間であった. しかしYbの消化管内停留時間は, 50.5±7.7時間となり, 雌雄での差はなかった.
- 2002-02-25
著者
-
紺野 耕
日本獣医畜産大学家畜飼養学教室
-
時田 昇臣
日本獣医畜産大学応用生命科学部
-
時田 昇臣
日本獣医畜産大学
-
時田 昇臣
日本獣医畜産大 獣医畜産
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紺野 耕
日本獣医畜産大学獣医畜産学部
-
高橋 瑞枝
日本獣医畜産大学獣医畜産学部
-
成澤 徳子
日本獣医畜産大学獣医畜産学部
-
高橋 礼子
日本獣医畜産大学獣医畜産学部
-
最上 綾香
日本獣医畜産大学獣医畜産学部
-
紺野 耕
日本獣医畜産大学
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