薬物依存性の評価法 : 条件付け場所嗜好性試験を中心に
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概要
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薬物が示す多幸感および陶酔感を経験し,薬物乱用を繰り返すことにより「自己制御が困難になった生物学的状況」を薬物依存(drug dependence)という.薬物依存という概念は,薬物を欲求している状態にある「精神依存(psychological dependence)」と薬物が生体内に存在する状態に適応し,断薬すると退薬症候が生じる「身体依存(physical dependence)」に分類されている.薬物依存の本質は精神依存であり,動物実験においては動物が示す薬物摂取行動や報酬(reward)効果を解析することにより,薬物依存性を評価できると考えられる.薬物の精神依存性を評価する方法としては,薬物自己投与法(self-administration paradigm)が最も信頼性の高い方法として使用されている.また,条件付け場所嗜好性試験(conditioned place preference paradigm)は,薬物の報酬効果を評価する方法とされ,実験操作が比較的簡便で,短期間での依存性評価が可能であり広く使用されている.さらに,薬物摂取時の自覚効果を利用して,依存性薬物との類似性を解析する薬物弁別試験(drug discrimination paradigm)も行なわれている.本稿では,当研究部において実施している条件付け場所嗜好性試験を中心に,薬物の精神依存評価方法を概説する.その妥当性と問題点を踏まえ,薬物の依存性を評価するための依存評価システムの構築について考えてみる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2007-08-01
著者
-
舩田 正彦
国立精神・神経センター 精神保健研究所 薬物依存研究部
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青尾 直也
国立精神・神経センター 精神保健研究所 薬物依存研究部
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舩田 正彦
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所・薬物依存研究部
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船田 正彦
国立精神・神経センター精神保健研究所 薬物依存研究部
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