血液透析患者の骨折危険因子としての intact PTH の意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【目的】血液透析患者に発生した骨折症例をretrospectiveに集計し, 副甲状腺機能ならびに骨密度などの背景因子の検討を試みたので報告する. 【対象と方法】血液透析患者312症例中, 2003年から2005年までの間に骨折の診断を受けた25症例 (8.0%) を対象とした. 背景因子として, 性別, 年齢, 透析期間, 原疾患, 測定項目としてintact PTH (iPTH), ALP, 骨密度等の各項目について検討した. 【結果】骨折症例は男女比で女性に有意 (p<0.01) に多く認められ, iPTH値と骨密度では有意 (p<0.01) に低値を示した. 2003年K/DOQIガイドラインに基づいてiPTHを3群に分類し検討したところ, Hypo群 (<150pg/mL) では骨折患者の割合がNormo群 (150〜300pg/mL), Hyper群 (>300pg/mL) に比して有意 (p<0.05) に高いことが示された. 次にHypoの基準を200pg/mL未満として検討しても同様にHypo群ではNormo群 (200〜300pg/mL), Hyper群 (>300pg/mL) に比して有意 (p<0.05) に骨折頻度が高いことが示された. 次に骨折の危険因子と考えられたiPTHと骨密度との関係について検討したところ, iPTH Hypo群 (<150pg/mL) においては, Normo群, Hyper群に比して有意 (p<0.05) に骨量が保たれていた. 【結論】iPTHの低値例において骨折が有意に多く認められ, また骨密度が有意に保たれていた. 骨折予防のためにはiPTHの目標下限値を若干高めに設定することが必要と考えられた. さらに骨量が保たれていても, 低回転骨を示している場合があり, 血液透析導入時や骨折発症以前の時期から注意を要する必要があると考えられた.
- 社団法人 日本透析医学会の論文
- 2007-06-28
著者
-
須藤 祐司
嬉泉会嬉泉病院内科
-
白石 裕盛
嬉泉会嬉泉病院内科
-
須藤 祐司
嬉泉病院内科
-
佐藤 英一
新松戸中央総合病院 腎臓内科
-
福田 祐幹
嬉泉会嬉泉病院内科
-
佐藤 英一
嬉泉会嬉泉病院内科
-
池田 耕一
嬉泉会嬉泉病院内科
関連論文
- ビタメンブレンと酸化ストレス : 第54回日本透析医学会シンポジウムより
- 処方の教室 高血圧と臓器障害
- IgG-κ型の良性M蛋白血症を合併したigD-λ型多発性骨髄腫の1例
- 抗血栓療法中の血液透析患者における抜歯後合併症の検討
- 心不全の電解質代謝(第3報) : 利尿剤の作用に関する基礎および臨床的研究
- 心不全と電解質代謝〔第II報〕 : Na平衡に関する腎性因子について〔特に水, Na再吸収を中心として〕
- 心不全と電解質代謝(第1報) : 浮腫と電解質Balance
- 血液透析患者の骨折危険因子としての intact PTH の意義
- 急速進行性腎炎で血液透析導入となり,Tolosa-Hunt症候群を示した1例
- 慢性維持血液透析患者におけるHBワクチンの臨床試験 : 特に細胞性免疫と抗HBs抗体反応性について
- B型肝炎ワクチンの臨床試験に関する研究
- PMX-F療法の最近の臨床知見(敗血症とアフェレシス)
- 抗血栓療法中の血液透析患者における抜歯時合併症の検討
- 4.肺炎からの敗血症性ショックになりPMX-F療法で救命できなかった症例の病理学的検討(一般演題,日本アフェレシス学会第21回関東甲信越地方会抄録)
- 1.頻回の血液透析回路内凝固を契機に診断され,血漿交換療法が有効であった多発性骨髄腫の1例(一般演題,日本アフェレシス学会第21回関東甲信越地方会抄録)
- Preliminary evaluation of hepatitis B vaccination in dialysis patients.