有機廃棄物のメタン発酵によるバイオガス発生速度について
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概要
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家畜廃棄物や生ごみなどのメタン発酵における有機廃棄物の分解速度を発酵槽内液量基準の有機物(VS)濃度CVSに関して1次反応と仮定し,既往の文献に発表されている豚ふん尿の非等温メタン発酵の実証プラントの運転データの解析から,有機物の分解に関する反応速度式として次式を得た.−dCvs/dt = γ(4.61×1011)(exp(−7.47×104/RT))(Cvs)ここでγは,メタン発酵での各種有機物廃棄物の分解速度の差を表すファクターであり,豚ふん尿の場合を1としたとき,牛ふん尿で0.3,生ごみに対して1.5という数値を得た.この反応速度を用いて次の手順でメタン発酵槽のバイオガス発生量を計算した.1)発酵槽を定容回分反応器とみなし,導かれる設計式の積分期間を1日とする.2)日々投入されたVSは,それ以前に投入されたVSの影響を受けずに独立に反応が進行するとする.3)ある基準日から滞留日数相当の日数まで遡って,その間に日毎に投入された有機物個々についてその日における残存量から,その日の反応量を計算する.4)ある基準日から滞留日数相当の日数までの個々の計算反応量の積算値が当日の全反応量となり,これと発生バイオガスの平均分子量から,当日のバイオガス発生量を計算する.この方法で,他研究者によって既に発表されている各種有機廃棄物のメタン発酵の実際のプラント運転データを使って計算したバイオガスの発生量は,豚ふん尿,牛ふん尿,生ごみ等の単独あるいは混合処理の場合,また中温発酵と高温発酵のいずれにおいても,実測値を良好に説明できた.
- 2007-07-20