有機酸を用いた都市ごみガス化溶融飛灰からの重金属浸出
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概要
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都市ごみガス化溶融飛灰 (「飛灰」という) からの亜鉛, 鉛, 銅の浸出特性をpHスタット法によって検討した。飛灰の水浸出残渣を対象に, 塩酸単独溶液を用いて浸出を行った場合, pH2における浸出率は, いずれの金属に対しても10%程度に過ぎなかった。有機酸の添加効果が顕著であり, クエン酸の場合, 濃度0.001M, pH4の条件における亜鉛, 鉛および銅の浸出率は, それぞれ64, 64および91%であった。クエン酸が浸出剤として有効である理由は, 錯体を形成して重金属を溶液中に安定化するのではなく, 触媒的に重金属の溶出を促進するためであると考えられる。反応温度を25℃から50℃に上げると亜鉛, 鉛, 銅およびケイ素の浸出率はいずれも低下した。pHスタット法を用い, クエン酸存在下で浸出する方法には, 低有機酸濃度で高い重金属浸出率が得られるだけでなく, 難ろ過性のゲル状ケイ酸が生成しないという特徴もある。
- 一般社団法人 廃棄物資源循環学会の論文
- 2007-05-31
著者
-
吉岡 敏明
東北大学大学院工学研究科応用化学専攻
-
吉岡 敏明
東北大学大学院環境科学研究科
-
溝口 忠昭
東北大学環境保全センター
-
吉岡 敏明
東北大学大学院 環境科学研究科
-
齋藤 千愛
東北大学大学院工学研究科 応用化学専攻
-
岡田 治樹
東北大学工学部分子化学工学科
-
TITUS Monica
東北大学環境保全センター
-
Titus M
東北大学環境保全センター
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