四肢骨の計測的特徴における縄文人と現代日本人の地域間変異
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概要
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縄文人の身体形質に見られる地域差に関しては,頭蓋や歯の計測的特徴や形態小変異,推定身長に基づく研究が行われてきたが,これらの先行研究から,縄文人の形質の地域差は現代日本人との時代差よりも小さく,全国的にほぼ均質であると認識されてきた。今回,四肢骨の計測的特徴を中心に,北海道から九州までの6地域について,縄文人と現代日本人の地域間変異を比較した。単変量解析では,最大長において縄文人の方が現代日本人よりも地理的な変異幅が大きいこと,骨幹断面示数において縄文人の大半の項目に有意な地域差が見られるが現代日本人にはそれが全く認められないことが判明した。また,両集団の各地域間で四肢骨計測値を基にマハラノビスの距離を求めると,縄文人の地域間距離は現代日本人のそれよりも大きく,二次元展開図でも縄文人の分布領域の方が広くなった。頭蓋計測値で同様の分析を実施したところ,男性では縄文人と現代日本人の平均距離は同程度だが,女性では縄文人の地域間変異の方が大きくなった。この様相は四肢骨と頭蓋の形態を形成する各々の背景の相異を示唆しており,他の解剖学的特徴や遺伝的多型からも縄文人の地域差を検討する必要がある。
- 2006-12-01
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