同種造血幹細胞移植における深在性真菌感染症予防
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
造血幹細胞移植は, 進行期造血器腫瘍に対する根治療法として有効性が確立している. 前処置強度を弱めた移植法が開発され, ミニ移植と称されている. ミニ移植では前処置による副作用は軽度であり, 高齢者や臓器障害を有する患者にも応用可能である. 2000年代に入り, 悪性リンパ腫や一部の固形腫瘍にも有効であることが明らかになり, 更に, 非血縁ドナーや臍帯血を用いたミニ移植の研究も進んでいる. 真菌感染は造血幹細胞移植における主要合併症である. いったん真菌感染症を発症すると予後不良のため, 移植後の真菌感染対策は予防に重点が置かれてきた. 近年の移植を取り囲む状況の変化により, 感染対策も変化しつつある. 院内の環境対策が真菌感染予防に重要なことは言うまでもない. しかし, ミニ移植後の真菌感染発症の中央値は移植後100日で, 多くの場合, 外来治療中に発症する. このため, ミニ移植における真菌感染対策では, 抗真菌剤の予防投与が注目されている. 近年, 複数の新規抗真菌剤が開発され, 臨床応用が進んでいる. 真菌感染症領域で, このように多くの薬剤が同時に開発されたことはなく, この数年以内に真菌感染対策は大きく変化することが予想される.
- 日本医真菌学会の論文
- 2006-07-31
著者
-
上 昌広
虎の門病院血液内科
-
上 昌広
国立がんセンター研究所 薬効試験部
-
上 昌広
東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門
-
松村 有子
虎の門病院血液科
-
上 昌広
虎の門病院血液科
-
上 昌広
東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門
-
松村 有子
東京大学大学院医学系研究科
-
松村 有子
東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワーク講座
-
上 昌広
国立がんセンター中央病院 造血幹細胞移植グループ
-
上 昌広
国立がんセ 中央病院 薬物療法部 幹細胞移植療法室
-
Kami Masahiro
The Department Of Hematology And Oncology Tokyo University
-
Miyagawa Kiyoshi
Department Of Developmental Biology And Oncology Research Institute For Radiation Biology And Medici
-
Kami Masahiro
Division Of Social Communication System For Advanced Clinical Research The Institute Of Medical Scie
関連論文
- 巻頭インタビュー キーパースンに訊く 日本のがん医療--問題点とその克服への道 今こそ「医療崩壊を招いた構造」の組み替え時期 上昌広さん(東京大学医科学研究所特任准教授)
- 教育研修講座 医療事故調法案騒動から見えてくるわが国の医療ガバナンスの変化
- 深在性真菌症に対する voriconazole の臨床試験 : 多施設共同, 非対照試験
- Special Interview 新型インフルエンザワクチンはなぜ不足したのか?--ワクチン後進国ニッポンの構造的問題
- 深在性真菌症の発生動向に関するアンケート調査アスペルギルス症について
- 小児同種造血幹細胞移植における無菌管理効率化の検討
- W5-4 造血幹細胞移植後の呼吸器合併症に対するBAL,TBLBの有用性(気管支鏡下生検:TBLB, TBNA, BAL, etc.)(第28回 日本呼吸器内視鏡学会総会)
- 長期間持続している特発性第V因子インヒビター
- 同種骨髄移植症例の入院期間の検討
- P-376 膿胸関連リンパ腫の臨床像および治療 (全国調査)(その他2, 第47回日本肺癌学会総会)
- 細胞免疫療法としての骨髄非破壊的な同種末梢血幹細胞移植(ミニ移植)を施行した転移性腎細胞癌の9症例
- 造血幹細胞移植後のCMV感染症予防のためのCMV半定量PCRの有用性の検討
- マイクロサテライト多型を利用したmixed chimerismの迅速定量診断法の確立
- 臓器障害を有する患者の治療--肝障害(とくにB型肝炎ウイルスキャリアなど),腎障害合併例など (第5土曜特集 悪性リンパ腫up-to-date--混沌よりあらたなエビデンスを求めて) -- (特殊病態・合併症の治療)
- Anaplastic large-cell lymphoma--診断と治療 (特集 悪性リンパ腫--疾患単位の確立と層別化治療) -- (注目すべき疾患entityの病態・治療・予後)
- GVHDの制御 (第5土曜特集 造血幹細胞の制御と移植) -- (造血幹細胞の免疫学的制御)
- Early Diagnosis of Central Nervous System Aspergillosis with Combination Use of Cerebral Diffusion-weighted Echo-planar Magnetic Resonance Image and Polymerase Chain Reaction of Cerebrospinal Fluid
- 座談会 政権交代で医療はどう変わるのか (特集 政権交代で何が変わったのか--医療政策の変化を読む)
- 新型インフルで薬害を起こさないために
- 医療メディアの新潮流 (特集 民主主義とメディアの責任)
- Perfusion Method を用いた腸骨骨髄自動採取デバイスの開発(第一報)
- 骨穿孔小型軟性ドリルを用いた骨髄移植用造血幹細胞採取デバイスの開発
- 低侵襲骨髄採取デバイスの開発 : 第一報 : 大腿骨骨髄採取デバイスに関する検討
- W-4-3 免疫細胞療法におけるsteady state leukapheresis
- 細胞免疫療法としての骨髄非破壊的な同種末梢血幹細胞移植(ミニ移植)を施行した転移性腎癌の7症例
- 医療関連死問題をかんがえる(9)わが国の医療ガバナンスの新しい潮流--医療関連死問題からみえるもの
- 医療事故調論争を読み解く ("医療安全調査委員会"の是非を問う)
- 診療関連死に関する厚労省第三次試案を読み解く (特集 医療事故を取り扱う第三者機関の設立をめざして)
- 同種造血幹細胞移植における深在性真菌感染症予防
- Mutation Analysis of the WT1 Gene in Myelodysplastic Syndromes
- Frameshift Mutations of the hMSH6 Gene in Human Leukemia Cell Lines
- Subcellular localization of the MEN, MLI/MEN and truncated MLL proteins expressed in leukemic cells carrying the t(11;19)(q23;p13.1) translocation
- Fulminant Septicemic Syndrome of Bacillus cereus in a Leukemic Patient
- c-Cbl Is Inducibly Tyrosine-phosphorylated by Epidermal Growth Factor Stimulation in Fibroblasts, and Constitutively Tyrosine-phosphorylated and Associated with v-Src in v-src-transformed Fibroblasts
- Tyrosine Phosphorylation of the Proto-oncogene Product Vav and Its Association with the Adapter Grb2/Ash in a Human Leukemia Cell Line UT-7
- 新春インタビュー 日本が生き残っていくためには将来に投資しないといけない
- 現場からの医療改革
- 深在性アスペルギルス症の非侵襲的診断方法 : real-time PCR 法の応用
- 造血器悪性腫瘍, 固形癌に対する同種免疫療法の現状
- TOP鼎談「経営談義」(第11回)現場の声をもとに新たな政策を立案し危機打開を実現する
- 私の視点 骨髄移植フィルター騒動の舞台裏
- 座談会 わが国と欧米のガイドライン(IDSA)の比較--侵襲性アスペルギルス症(IA)を中心に
- SP-5-7 ポストモダン社会における医師のあり方 : 医学から医療学・患者学へ(第108回日本外科会定期学術集会)
- 真菌症とPCRの応用 深在性アスペルギルス症の非侵襲的診断方法:real-time PCR法を中心に (特集 血液内科領域における最近の真菌症診断法)
- 川渕対談(第34回)今月のゲスト 上昌広氏(東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門客員助教授) 疾病のタイプが変化した今 地域ネットワークの充実による生活に沿った医療提供が必要
- Pathological Changes in the Gastrointestinal Tract of a Heavily Radiation-exposed Worker at the Tokai-mura Criticality Accident
- ミニ移植における真菌感染予防
- 同種造血幹細胞移植における深在性真菌感染症予防
- シタラビン大量療法時の眼障害回避に対するステロイド点眼液の適正使用の効果
- Mylotarg Is Not a "Magic Bullet"
- Global Standardの視点からの医療(57)がん治療
- 骨髄非破壊的造血幹細胞移植に伴う真菌感染症とその対策
- ミニ移植と感染症
- 臨床 低悪性度非ホジキンリンパ腫の治療の実際 (特集 悪性リンパ腫--基礎と臨床)
- 東日本大震災 医療の現状を見る
- 造血器悪性腫瘍症例における深在性真菌症 (7月第5土曜特集 白血病--最新の基礎と臨床) -- (白血病の標準的治療法)
- p53 Gene Mutation and Loss of Heterozygosity of Chromosome 11 in Methylcholanthrene-induced Mouse Sarcomas
- 医療事故調法案騒動から見えてくるわが国の医療ガバナンスの変化
- 福島県浜通りは何を求めているのか
- Clinical relevance of the homologous recombination machinery in cancer therapy
- Genetic instability and cancer
- 鼎談 21世紀のライフライン がんの先進医療の現状と今後の課題
- 巻頭対談 21世紀のライフライン ヒトゲノム解析・がんワクチン研究の進展具合とその実用化への障壁(後編)がんワクチンの効果は「期待」から「確信」に変わった
- 巻頭対談 21世紀のライフライン ヒトゲノム解析・がんワクチン研究の進展具合とその実用化への障壁(前編)個別化医療が「日本医療の新機軸」
- Why Do Japan's Advanced Medical Treatments Never Get Ahead?
- Development of a novel scale to assess the quality of life in type 1 diabetic patients for beta cell replacement therapy
- TPPは我が国の医療にマイナスか
- 巻頭対談 21世紀のライフライン 日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 : 患者さんに「希望」を提供する医療を実現するために : 中村祐輔氏 シカゴ大学医学部血液・腫瘍内科教授 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター教授 上昌広氏 東京大学医科学研究所特任教授
- シミュレーションを通じた感染症対策の設計 : 選択的ワクチン投与による集団免疫強化の事例から(ビッグデータとデータ同化)