各種インプラントの周囲におけるイヌ神経分布の組織学的研究

概要

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歯科用インプラント材の具備すべき条件を検討する事項の一つに, 天然歯が有する機能の有無が挙げられる.特にインプラント周囲組織における感覚入力のメカニズムについて解明することは重要な課題であり, 神経生理学的ならびに神経組織学的な検討を加える必要がある.そこで, 本研究では, 抜歯後3ヵ月経過した成犬の下顎骨内に単結晶アルミナセラミックインプラント, 陽極酸化被膜形成チタン合金製インプラント, ヒドロキシアパタイト被覆チタン合金製の3種類のシリンダータイプインプラント体を埋入し, 非機能下でのインプラントの埋入後3ヵ月までの治癒経過に伴う神経線維の動態について病理組織学的な検索を行った.また, 術後3ヵ月例では神経線維の分布状態について三次元の画像で再構築を試み, さらに骨接触率と神経支配密度の組織形態計測を施した.この研究の結果により, 以下の結論を得た.1) 各種埋入インプラント体周囲には神経線維の存在が明らかに認められた.この神経線維は既存の神経線維から二度にわたる傷害後に, 分布してきた再生神経と考えられる.再生神経の一部はインプラント体を支持する骨に接しながら終末として分布を示すことから, インプラント周囲の感覚を担っている可能性が示された.2) イプラント体埋入後1週から1ヵ月の間のインプラント体に対する骨形成の様式は, 3種類とも異なるために, 3ヵ月後の骨接触率に差が認められた.一方, 骨形成様式の差により, 再生神経線維の分布様式も異なっていた.3) 神経支配密度と骨接触率とが逆相関関係を示したこと(p<0.01)と, 3種類のインプラントの間に神経線維の形態的, ならびに量的な差異が認められたことから, これらのインプラントの間には感覚機能の差異が存在する可能性が示唆された.
1997-10-25

各種インプラントの周囲におけるイヌ神経分布の組織学的研究

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