歯髄の電気刺激に応答するネコ三叉神経中脳路核一次ニューロンの性質
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では, 細胞外記録法と歯髄電気刺激法を用いてネコの中脳路核に存在する歯髄一次ニューロンの性質を電気生理学的に検討した.ウレタン・クロラロース麻酔成猫の右下歯槽神経に双極銀塩化銀線電極を設置した後, 急性歯髄炎の発生の防止のためPrednisoloneを全身投与した.右上下顎犬歯の根尖に近い歯根部象牙質に注水下にエアータービンと低速ラウンドバーを用いて仮性露髄した窩洞を2ヶ所形成し, 窩洞底をetching後電極糊を介して銀塩化銀線電極を圧接固定した.非動化・人工呼吸下でガラス被覆elgiloy微小電極をstereotaxicに右中脳路核内におろしたのち, 下顎下制ならびに歯根膜機械刺激には応答せず, 歯髄電気刺激にのみ一定した短潜時で応答する単一ニューロンを記録した.実験後, 記録電極に直流通電してFe-markingを施し, 連続凍結切片を作製して記録部位の組織学的同定を行った.20頭のネコのP2.5, L2.5に相当する尾側中脳路核部位から25個の歯髄電気刺激に応答する一次ニューロンの記録を得た.これらのニューロンは全て500Hzの反復歯髄刺激に忠実に追随し, 閾上歯髄刺激に1.2∿2.0 msecの範囲内(1.6±0.2 msec, 平均±標準偏差)の一定した応答潜時を示した.また犬歯刺激電極と中脳路核記録電極間の距離を76.4±2.7 mm (n=5)として伝導速度を求めると, 25個の歯髄一次ニューロンは50∿55 m/secをピークとするAβレンジの単峰性分布(48.9±6.4 m/sec, 平均±標準偏差)を示した.以上の結果から, 歯髄支配の中脳路核一次ニューロンはAβレンジの低閾値求心性線維を持つことが判明した.Dong et al.(1985)はネコの歯髄に機械的受容器の存在を報告しており, 咀嚼時これらの受容器からの求心性情報は三叉神経中脳路核および三叉神経節を経由して大脳皮質に伝えられ, 歯ざわりの生起に関与していることが推測される.
- 九州歯科学会の論文
- 1997-02-25
著者
関連論文
- Properties of Primary Afferent Neurons in the Feline Mesencephalic Trigeminal Nucleus Responding to Electrical Pulpal Stimulation : 主論文の要旨
- 歯髄の電気刺激に応答するネコ三叉神経中脳路核一次ニューロンの性質