結婚50年後に感染したHCV夫婦間感染の1例
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概要
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結婚後50年経ってHCVの夫婦間感染が成立した1例を報告した. 妻は72歳. 1955年出産時に輸血. 1989年に初めて肝機能異常を指摘され, 1992年より当院へ通院. 1992年4月, 肝生検はF1/A1, HCV-RNA8.7Meq/ml. 1992年9月よりIFN-α6MUを2週連投後, 週3回22週投与するも無効. 1994年6月, 肝生検はF1/A1. 同年8月よりIFN-α2b10MUを2週連投後, 週3回22週投与するも無効. 一方, 夫は77歳. 1981年より糖尿病で近医に通院. 1975年より毎年検診を受け, 飲酒による肝障害を指摘されていた. 2000年3月, HCV Ab(-). 2002年9月の検診でGOT358IU/l, GPT700IU/lと異常を指摘され当科受診. HBsAg(-), HCV Ab(+), HCV-RNA31.5KIU/ml. 2003年1月29日の肝生検は軽度の脂肪沈着を認めるalcoholic fibrosis with hemosiderosisの所見であった. 2003年2月より, 高齢で糖尿病があるためIFN-α3MUを週2回投与し9月にHCV-RNA陰性となる. 夫婦のHCV NS5B領域339塩基を増幅し, PCR産物をダイレクトシークエンスにより塩基配列を決定した結果, 夫婦間の配列はともにHCV genotype 1bで99.1%の高い相同性が得られた. 系統樹解析でも有意なクラスター (100%) を形成しており夫婦間の感染が強く示唆された. その後, 夫のHCV抗体価も上昇したことから妻から夫への初感染と診断した. 感染経路は性交渉によるものと推測した.
- 2005-01-25
著者
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矢倉 道泰
独立行政法人国立病院機構東京病院消化器科
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田中 晃久
独立行政法人国立病院機構東京病院消化器科
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上司 裕史
独立行政法人国立病院機構東京病院消化器科
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原田 英治
国立療養所東京病院
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原田 英治
国立療養所東京病院 消化器科
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時田 元
国立療養所東京病院消化器科
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時田 元
独立行政法人国立病院機構 東京病院消化器科
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原田 英治
独立行政法人国立病院機構 東京病院消化器科
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時田 元
国立療養所東京病院 消化器科
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田中 晃久
独立行政法人国立病院機構 東京病院消化器科
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