アデノシンと眼圧
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概要
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近年,眼圧調節因子の一つとしてアデノシンが注目されており,また,ヒト眼房水中のアデノシン濃度と眼圧との関係からその緑内障との関わりも注目されている.本稿ではアデノシン受容体の眼圧調節における役割と2位置換基を有する2-アルキニルアデノシン誘導体(2-AAs)の新規緑内障治療薬としての可能性について紹介する.2-AAsは,その殆どがアデノシンA2受容体に高親和性を有する化合物であり,正常眼圧ウサギへの点眼により眼圧下降のみを示す化合物が幾つか見出され,それらは飲水負荷モデル又はα-キモトリプシン誘発高眼圧モデルにおいても顕著な眼圧下降を呈した.その作用はアデノシンA2受容体作動薬とされているCGS-21680よりも強力であった.眼圧下降のみを示す2-AAsの中で,2-(1-オクチン-1-イル)アルキニル誘導体による眼圧下降はアデノシンA1受容体拮抗薬の8-シクロフェニル-1,3-ジメチルキサンチンによって影響を受けなかったが,アデノシンA2受容体拮抗薬である3,7-ジメチル-1-プロパルギルキサンチンによって顕著に抑制された.さらに,トノグラフィを用いた検討より,ウサギにおける2-AAsによる眼圧下降作用は房水流出の増加がその機序の一部と考えられた.以上,2-AAsは,アデノシンA2受容体の活性化により眼圧下降を示し,その機序として房水流出の増加が示唆された.また,2-AAsによる眼圧変化は更なる機序解明が必要であるものの,今回の知見より,幾つかの2-AAsが緑内障治療薬の候補として有用であると考えられる.
- 2004-04-01