<総説>本邦における救急医療の現況
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概要
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わが国の救急医療の歴史は1931年日本赤十字社大阪支部で救急業務を開始したことに始まる.そして1933年ごろから大都市圏の警察組織のなかで救急業務が行われるようになった.1948年消防組織法が制定され,以降,救急業務は自治省(現在総務省)消防庁の指揮下で行われている.厚生省は1964年の救急医療機関告示制度を発足させ救急医療機関の整備を行った.1977年には全国の医療機関を機能別に初期・一次・三次救急医療機関に分類し,体系化した医療体制を発足させた.2000年4月現在,救急病院として4,315施設,救急診療所として783施設の合計5,098施設が救急医療施設として登録されており,三次救命救急センターは全国に157施設が設置されている.2000年4月現在,全国市町村の98%の市町村で救急業務が行われており,全国民の99.8%がカバーされており,昨年の統計では全国民の33人に1人が救急隊により搬送されていることになる.しかし,心肺停止状態の患者の救命率は欧米に比べ低く,米国のパラメディックに習って日本でも1991年から救命救急士制度が発足し,救命救急士は心肺停止状態の患者に対して,食道内挿管による気道確保・半自動式除細動器を用いた除細動・静脈路確保のための輸液を行うことが可能となった.しかし,救命率は当初考えられたほど上昇せず,そのためBystanderによる救命手当ての実施とメディカルコントロールの重要性が指摘されている.大学レベルでの救急医療は1967年大阪大学医学部附属病院に特殊救急部が創設されたのが始まりである.私立大学では1974年,川崎医科大学に救急部が1977年日本医科大学に救命救急センターが開設された.<救急医学講座>は1977年川崎医科大学が,1978年日本医科大学が,1986年大阪大学に開設された.以降2001年4月現在,43国立大学に22救急医学講座・20救急部,8公立大学中,3救急医学講座・4救急部・救命救急センター,29私立大学中,18救急医学講座・15救急部・救命救急センターが設置されている.救急医学に関係する学会としては1973年に創立された『日本救急医学会』,1998年に設立された『日本臨床救急医学会』を中心として,日本外傷学会・日本熱傷学会・日本労災学会・日本小児救急医学会など数多くの学会が組織されている.今後,<救急医療>では,小児科救急・精神科救急・外国人救急・ホームレス救急など解決しなければならない問題が山積しており,周知を集め解決を図らなければならないと考える.
- 2001-12-25
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