標準的治療域内での抗てんかん薬によるめまい感の検討 : 血中濃度による重心動揺軌跡の変化について

概要

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対象は抗てんかん薬の血中濃度が明らかな中毒域に入っていないにもかかわらず、めまいを訴えた4例の部分てんかん患者で、いずれの症例も脳波所見、頭部CTあるいはMRI所見にめまいと対応する異常は認められなかった。神経学的検査のほかに、平衡障害や眼球運動障害とめまいの関連について調べるために重心動揺計と眼振計を記録した。めまいの本態は血中のphenytoinやcarbamazepineの上昇に対応して出現する平衡障害で、薬剤性小脳失調と考えられた。全例めまいの出現に対応して重心動揺検査で動揺軌跡の外周面積の増加やロンベルグ率の上昇が認められた。パワースペクトル分析では特定の周波数の動揺が増加することはなかった。複視や眼球運動異常はめまいに対応していなかった。抗てんかん薬の投与量を調節することによって、めまいと異常な重心動揺は消失した。重心動揺検査はめまいの訴えに関連する小脳症状を定量的に把握でき、薬物の影響を経時的に評価するのに有効であった。
日本てんかん学会の論文
2002-10-31