左右の後半規管および前半規管のなす角度に関する研究
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概要
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近年眼球運動の3次元的な解析方法が進歩し,眼振の回転軸を求めることが可能になった.それにより,頭位性めまい症などの末梢性眼振を解析し責任病巣を追求しようとする試みがなされている.その際に左右の後半規管および前半規管のなす解剖学的角度が重要な意味を持つ.MRI画像を用いてこめ角度を計測した.対象は,主に頭痛を訴え頭部MRIを撮影した50例(男21例,女29例,平均年齢53.6歳)である.軸位断のT2強調画像のMRI画像において後半規管,前半規管を確認し,左右の後半規管のなす角度(角P)ならびに左右の前半規管がなす角度(角A)を測定した,角Pの平均値±標準偏差は92.6±11.7度(最大値は120度,最小値は67度)角Aの平均値±標準偏差は76.1±10.4度(最大値は94度,最小値は50度)であった.さらに変動係数を計算すると,角Pで0.124,角Aで0.136と比較的大きく,ばらつきの大きな集団であった.左右の後半規管,前半規管のなす解剖学的角度は個人差が大きく,必ずしも90度の角をなしていないということが明らかとなった.したがって後半規管,前半規管ともに矢状面と45度の角度をなしているとは限らず,眼球運動解析の際にはこのことを考慮する必要がある.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
- 2002-11-20