末梢性顔面神経麻痺症例におけるF波の臨床的研究
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概要
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(目的)末梢神経近位部の評価が可能であるF波を用いBell麻痺,Hunt症候群の回復過程におけるWaller変性後の神経再生について検討した.(対象)1999年4月〜2000年10月までの間に当科を受診したSell麻痺,Hunt症候群で,麻痺発症後2週間以内にENoG (Electroneurography)最低値が0%に陥った(完全脱神経と考えられる)非治癒症例20例と健常者11例である.(方法)F波の測定は,顔面神経下顎縁枝を刺激しオトガイ筋よりF波を記録した.同時に,麻痺スコア(40点法)とENoGの測定も行った.検討項目をF波の最小潜時,最大潜時,平均潜時,20回の刺激におけるF波の出現頻度,麻痺スコア,ENoG値とし,それらの麻痺後の変化について健常群と比較し検討した.(結果)F波最小潜時は麻痺後経過群と健常群に有意差を認めなかった.F波最大潜時,平均潜時は麻痺後経過群で健常群と比べ有意に延長していた.F波の出現頻度は1年未満は正常と比較し有意差をもって低下するが,1年以降はほぼ健常群と同等であった.麻痺スコアは麻痺後6ヵ月以降に30点前後まで回復したが,正常まで回復することはなかった。ENoG値は経時的に回復を示したが,2年以降の長期を経ても50%前後であり正常まで回復することはなかった.(結論)麻痺後に再生した神経線維の多くは,正常と比較し伝導速度が遅延している.しかし,麻痺後に再生した神経線維の中には,正常と同等に速い伝導速度の神経線維も存在すると考えられた.
- 2002-11-20
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