高分子酸化防止剤の研究(第4報) オルト位で直接結合したフェノールオリゴマーについて
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概要
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フェノール性芳香環がオルト位で直接結合したオリゴマーを, horseradish起源のペルオキシダーゼを触媒とした過酸化水素による酸化によって合成した。フェノール類として<I>p</I> -クレゾール, <I>p</I> -エチルフェノール, <I>p</I>-s-ブチルフェノール,.<I>p</I>-<I>t</I>-ブチルフェノール, <I>p</I> -メトキシフェノール, p-ノニルフェノール, <I>m</I> -クレゾール, <I>m</I> -<I>t</I>-ブチルフェノール, <I>m</I> -メトキシフェノール, 3, 4-キシレノールを用いた。<I>p</I> -ノニルフェノール及び<I>m</I> -<I>t</I>-ブチルフェノールの場合は, 酸化によって重合は起こらなかった。一連のパラ位にアルキル基を有するフェノールオリゴマーは, いずれのものも数平均分子量 (Mn) は800程度であり, また, かさ高い置換基を有するものは重合の際におけるヒドロキシル基の減少を防ぐ傾向が認められた。<I>p</I>-メトキシフェノールオリゴマーのMnは, 約1,700であった。メタ位に置換基を有するオリゴマーは, 相当するパラ置換型オリゴマーと比べMnは低く, ヒドロキシル基残存度 (D.R.H.) は高いことが認められた。合成したフェノールオリゴマーのラードに対する酸化防止性を測定したが, 重合による酸化防止性の向上はほとんど認められなかった。一方, これらオリゴマーのテトラリンに対する酸化防止性は, p-メトキシフェノールの場合以外では, 相当するモノマーと比較してかなりすぐれることが認められた。フェノールオリゴマーのペルオキシラジカルとの高い反応性及び安定なフェノキシラジカルの生成がすぐれた酸化防止性の原因と考えられる。高いD.R.H.を有するオリゴマーは, 低いものと比較し高い酸化防止性を示した。メタ置換型オリゴマーの酸化防止性は, 相当するパラ置換型オリゴマーよりもすぐれることが認められた。
- 社団法人 日本油化学会の論文
- 1993-09-20
著者
-
朝倉 浩一
慶應義塾大学理工学部
-
朝倉 浩一
慶応義塾大学理工学部
-
松村 秀一
慶応義塾大学理工学部
-
塩谷 陽俊
慶応義塾大学理工学部
-
本田 栄敏
慶応義塾大学理工学部
-
松村 秀一
慶応義塾大学工学部
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