油糧種子の改質と遺伝子工学
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概要
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急激な人口増加, 緑地の砂漠化, 温暖化などのために, 近い将来, 地球上で収穫できる食糧では全人類を養うことができなくなることは明白である。一方, 欧米先進諸国や我が国は飽食状態にある。そして, 健康に対する意識の高まりと共に, おい (美味) しく, しかも健康の維持, 増進に役立つ食品の開発が望まれるようになってきた。このような2面性を持つ食糧に関する課題の解決が急務となり, その手段として遺伝子工学に熱い期待が寄せられている。<BR>一般に, 動物性食品は美味しい。しかし, 動物性脂質は, 飽和脂肪酸やコレステロールを多く含むために, 高血圧や脳卒中などの成人病誘発の心配がある。しかし, 植物性食品にはこのような心配が少ない。油糧種子は, 人類の3大栄養素のうち, 脂質とタンパク質を大量に含んでいる。従って, 油糧種子を改質して利用性を高めることは, 現在世界の抱えている2面的な食糧問題の有力な解決法の1つとなる。そこで, 本稿では, 遺伝子工学の手法に基づく油糧種子の改質について, 食品素材の観点からタンパク質と脂質に焦点を絞って紹介する。
- 社団法人 日本油化学会の論文
- 1992-09-20
著者
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