水/ショ糖ドデカン酸エスル/香料第にの相挙動
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概要
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ショ糖ドデカン酸エステル-水系における香料分子 (d-リモネン (LN), リナロール (LL)) の添加効果について検討した。炭化水素に近い性質を持つ香料分子であるLNを親水性のショ糖モノドデカン酸エステル (L-1695) -水系へ加えた場合, ヘキサゴナル液晶からdiscontinuousキュービック相への相転移が起こり, 可溶化限界を越えると, 過剰な油相 (LN) が分離する。一方, 分子内に水酸基を持つ両親媒性の香料分子であるLLをL-1695-水系に加えた場合, 界面活性剤分子膜の曲率は正から負になる。このとき, LLはL-1695と溶解し合い, 逆ミセルを形成する傾向にあり, 水の多い領域では過剰な水相が分離する。この相挙動の違いは, 自己組織体構造への香料の可溶化機構が異なるためと考えられる。そこで, 香料分子の可溶化部位について, 小角X線散乱 (SAXS) により検討した。その結果, LNは主に界面活性剤疎水基内部のコアに可溶化する傾向にあるのに対し, LLは界面活性剤palisade層へ入り込む傾向にあるものと考えられる。親油性のショ糖ドデカン酸エステル (L-595) についても検討した結果, 同じ香料を用いても, L-595系の方がL-1695系よりも香料が界面活性剤palisade層により多く入り込む傾向にあることが示された。
- 社団法人 日本油化学会の論文
- 2000-09-20
著者
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兼井 典子
曽田香料株式会社 フレグランス研究部
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國井 博信
横浜国立大学大学院工学研究科
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兼井 典子
曽田香料株式会社 フレグランス研究部 基礎研究室
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兼井 典子
曽田香料株式会社フレグランス研究部基礎研究室
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