発酵法乳酸の分離精製に関する研究 ポリ乳酸のラクチドへの接触的熱解重合
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概要
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発酵乳酸の分離精製法として, ポリ乳酸の接触熱解重合法を利用してラクチドに転化して精製する方法は有効な方法である.<BR>この観点から, 本研究ではポリ乳酸をラクチドへ転化するための実用的な熱解重合触媒を探索した.鉄系触媒, 特に金属鉄, 酸化第一鉄, 乳酸第一鉄は, 従来使用されているオクチル酸錫や酸化アンチモンとほぼ同じ触媒活性を示し, ほぼ同じ熱解重合物組成を与えることを確認した.さらに酸化第一鉄触媒を発酵未精製乳酸より合成した粗乳酸ポリマーの熱解重合に適用した.純物質から合成したポリマーの熱解重合と比較して触媒活性, 熱解重合物組成もほぼ同じであることが確認され, かつこれらは毒性の心配がないことや安価であることから, 実用触媒として利用可能と判断された.<BR>また, 原料としての乳酸ポリマー性状を検討した結果, 熱解重合性と熱解重合物組成から判断して重量平均分子量M<SUB>w</SUB>=5,000-10,000のポリマーが望ましいことが分かった.
- 社団法人 化学工学会の論文
- 1996-05-10