合成糖脂質/水系の物性 糖鎖の立体化学と分子の自己組織化
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概要
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オリゴ糖親水部の立体化学が,水中での合成糖脂質,セロオリゴ糖(β-1, 4-<I>O</I>-グリコシド結合)およびマルトオリゴ糖(α-1, 4-<I>O</I>-グリコシド結合)を持つ1, 3-di-<I>O</I>-dodecyl-2-<I>O</I>-(β-glycosyl) glycerolsの物性に与える効果について,検討した。異なる二種の親水部での糖残基数<I>N</I>の増加は,水中での糖脂質の物性に逆の効果を及ぼした。マルトオリゴ糖を親水基とする糖脂質Mal<SUB><I>N</I></SUB>(C<SUB>12</SUB>)<SUB>2</SUB>では,糖親水部での<I>N</I>の増加は,水和結晶・液晶相転移温度T<SUB><I>m</I></SUB>の低下をもたらし,脂質の「親水性」を増加させる。しかしながら,セロオリゴ糖を親水部とする糖脂質Cel<SUB><I>N</I></SUB>(C<SUB>12</SUB>)<SUB>2</SUB>のT<SUB><I>m</I></SUB>は,セロオリゴ糖親水部の<I>N</I>が増加するにしたがい増加する。T<SUB><I>m</I></SUB>が59℃ (<I>N</I>=4)から160℃以上(<I>N</I>=5)にジャンプする結果,Cel<SUB>5</SUB>(C<SUB>12</SUB>)<SUB>2</SUB>は液晶相を形成することが出来ず,完全に水に不溶となる。この結果は,親水部の異なる立体配座(コンフォメーション),すなわち,マルトオリゴ糖の“helical”コンフォメーションとセロオリゴ糖の“extended”コンフォメーションで説明できる。
- 社団法人 日本油化学会の論文
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